「上手に忘れて、上手に思い出せるふたり」
記憶なく 再び聞くも 初耳で 伝えたけどと ケンカ寸前
「これ、前に言ったよね?」
「いや、聞いてないし!」
そんなやりとりの中で、
彼女に「私に対して関心が薄まってるんじゃないか?」って、
冗談のように、でもちょっとだけ本氣の顔で言われた。
たしかに最近、
新しく始めたことや、遠出が増えたこともあって、
彼女との時間が少なくなっていた。
その時ふと、「あ、これは帰ってからちゃんと話そう」って思ってた。
でも、あとになって思い出したその“想い”は、
結局、言葉にはなっていなかった。
頭の中では伝えたつもりだったけど、実際には伝えていなかった。
…それが事実だった。
こんなふうに、「伝えたつもり」「聞いたつもり」って、
日常の中で意外とたくさんあるのかもしれない。
もしかすると、これまでも、
わたしが伝えたと思っていたことが、届いていなかったり。
逆に、彼女が言ってくれたことを、聞き流してしまっていたり。
そんな積み重ねの上で、
何気ないやりとりが、思わぬ衝突に変わることもある。
そして、ふと怖くなる。
そのうち「聞いたことすら忘れてしまう」自分になるかもしれない。
でも——
「上手に忘れて、上手に思い出せるふたり」だったら、
たとえそんなすれ違いがあっても、
きっとケンカにならないんじゃないかって思う。
そういうふたりでいたい。
そうあり続けたい。
そう感じた、ある日のできごと。