ふゆ美誕生ストーリー 〜Part3〜

ここから先は、私の道
🎄 2023年12月 クリスマスの頃
あの冬の日、冷たい空氣の中で街はクリスマスの光に包まれていた。
久しぶりに、明希さんはりなっちの元を訪れた。
「メリークリスマス!寂しくなかった?」
りなっちは、少し驚いたような顔をして、それから微笑んだ。
「寂しくないよ。でも……来てくれて、ちょっと嬉しい。」
「あの250万円の仕事、どうなった?」
「——ああ、新品を買うと1000万円かかるから、1/4の費用で直せるって話をしたんだよ。
『よろしく!』って言われて修繕したんだけど、結局お金は入らなくてね。
だからまた福山でデリバリーの仕事を始めたよ。」
りなっちは、小さくため息をついた。
「……そっか。でも、あなたらしいね。」
二人は、まるで昔に戻ったような空氣の中で、クリスマスの時間を過ごした。
何をするでもなく、ただ静かに、穏やかなひととき。
けれど、その中で、明希さんの心には、言葉にできない感覚が広がっていた。
📱 過去の整理、未来への準備
食事のあと、りなっちはふと口を開いた。
「ねえ、スマホの契約、そろそろ整理しない?」
「ん?……ああ、そっか。」
「もう私、自分名義の契約できるし……あいつ からもかかってくるからさ。」
「あー……あいつか。」
その言葉に、明希さんは苦笑した。
りなっちの過去を知る人物。
彼女が戸籍を持たなかった頃、支えてくれなかった人。
りなっちは、スマホを手に取りながら、静かに言った。
「もう、あなたの名義に頼る理由はないんだよね。」
「そうだな。」
明希さんはスマホからSIMを抜き取り、しばらくそれを見つめた。
りなっちがずっと使っていたスマホ。
けれど、もう彼女は自分で契約できる。
「スマホ本体は、お前が使いな。」
「え、いいの?」
「俺はこのSIMをデリバリー用や仕事用で使う。ここにかかってくる人は、俺のこと知ってるからな。」
りなっちは少し寂しそうな表情を浮かべたが、すぐに頷いた。
「うん、わかった。」
それは、ただのスマホの契約変更ではなかった。
過去を整理し、新しい未来へ進むための、小さな儀式のようだった。
🌊 交差する時間と、新たな氣づき
あの時、明希さんはふと呟いた。
「あ〜……俺、来年もしかしたら会えないかも。」
りなっちは驚いたように顔を上げた。
「え?どういうこと?」
「なんだろ……俺が一番忘れちゃいけない人のことを思い出しててさぁ。」
その言葉に、りなっちは少し考え込みながら問いかけた。
「……ゆうこちゃん?」
「いや……」
「ゆみこさん?」
「ちがう。」
明希さん自身、はっきりとした答えを持っているわけではなかった。
ただ、心の奥底から「何か」が湧き上がってきていた。
「前世の記憶……っていうのかな?」
自分でも説明できない感覚だった。
でも、確かに「何か」が呼んでいる。
「中学生のときに見た青い光……それと同じ光を先日見たんだ。」
その言葉を聞いた瞬間、りなっちは静かに頷いた。
「そっか……。」
彼女がそう呟いたとき、部屋の空氣が少し変わったような氣がした。
「明希は、きっと大切な何かを見つけるんだね。」
りなっちは穏やかに、けれど少し寂しそうに微笑んだ。
🌠 探し求めていた「光」
—— 本當に愛するべき人が、どこかにいる。
—— 魂が探し求めていた「何か」が、もうすぐ見つかる。
りなっちは、すべてを悟ったかのように微笑んだ。
「それが、あなたの運命なんだね。」
その言葉は、決して悲しみに満ちたものではなかった。
どこか清々しく、未来を受け入れるような、穏やかな響きを持っていた。
この夜、明希さんの中で、何かが確かに動き始めた。
—— まだ見ぬ「誰か」。
—— ずっと探し求めていた光。
そして、あの夜に感じた光は、2024年が始まるとともに、現実へと変わっていった。
(Part 4 へ続く)