ふゆ美誕生ストーリー 〜Part2〜

ふゆ美 誕生ストーリー 〜Part 2〜
——結婚への憧れと就籍
あの冬の記憶は、今でも鮮明に心に残っている。
寒さが沁みる夜、私は明希さんと一緒に暮らしていた。
当時の私は、日本国籍がなく、戸籍も持っていなかった。
それでも、明希さんとなら一緒に未来を歩めると思っていた。
私たちは、婚姻届を提出しようと考えていたけれど、私には戸籍がなかった。
「新しい戸籍ができるはず」――そう信じていたのに、それは叶わなかった。
あの時の私は、何も知らなかった。
法律のことも、制度のことも。
でも、明希さんは私に道を示してくれた。
「就籍手続きを進めれば、戸籍を得られるよ」
その言葉が、私を新しい道へと導いた。
母が生きていれば、資料はスピーディーに、揃えられたかもしれない。誰だかわからない父を探すくらいならと、母との繋がりをできるだけ集めた。裁判所への申立ての資料作りでも明希さんは親身になってくれていました。
2023年7月——
明希さんは、福山駅家のエネルギーを強く感じた場所のほど近くに、新たな生活の拠点を移した。
そこは、まるで運命に導かれるような選択だった。
そして、その直後のある日——
りなっちから、一通のメッセージが届いた。
「わたしの戸籍できたよ!」
その言葉は、かつての彼女からは想像もつかないほど、力強く響いていた。
「結婚しなくても1人でやっていける! だって自分の名前でスマホ契約できたり、戸籍謄本も住民票も、役所に行ったら発行してもらえるんだよ!」
りなっちは、自らのアイデンティティを手に入れた。
誰かに依存するのではなく、「私が私として存在できる世界」 を掴んだのだ。
明希さんは、静かに微笑んで言った。
「本来の自分を取り戻したね。」
その瞬間、すべてが報われた氣がした。
ずっと支えてきた意味が、ここにあった。
彼女はもう、「誰かの助けがなければ生きていけない存在」ではない。
自分の人生を自分で選べる人間になったのだ。
りなっちの告白
そして、りなっちは少し照れながら、言葉を絞り出すように続けた。
「ねぇ、結婚しなくてもいいからさ、あのー……これからも一緒にいてください!」
明希さんは、一瞬言葉を失った。
それは、恋愛の告白というよりも、
魂の繋がりを確認するような、不器用な言葉だった。
そして、思わず笑ってしまった。
「は、は(笑)……それ、言わされてるだろ?」
少しだけ冗談交じりに言いながら、彼女を見つめる。
でも、その目には温かさが宿っていた。
「君はもう僕を必要としてないはずだけど……」
そう言いかけて、少しだけ言葉を止めた。
本当にそうだろうか?
——いや、違う。
彼女は自立した。
でも、「共にいたい」と思う氣持ちは、また別の話なのかもしれない。
「でも、このアパートの名義はしばらくこのままでいいや。」
「たまには来なきゃいけないっていう責任を置いてね。」
それは、「もういらないよ」と手放すのではなく、
「また、ここに帰ってくるからね。」と伝えるための言葉だった。
——「過去からの解放」と「これからの在り方」の間で揺れる時間。
この出来事は、新しい息吹を感じさせるものへと繋がっていく。
(Part 3 へ続く)